発達障害のある子だけでなく、定型発達の子も、椅子に座っている時の姿勢が気になる子も多いのではないでしょうか?
特に発達障害のお子さんは、椅子に座っている時に姿勢が崩れやすいという特徴があります。姿勢が崩れると、見た目だけでなく、集中力や学習効果にも影響が出てしまいます。
では、なぜ姿勢が崩れやすいのでしょうか?また、どのようにして姿勢を改善することができるのでしょうか?
詳しく解説していきます。
※なお、今回の方法は、脳性麻痺など身体障害がある子向けではありません。身体の動きに困難さや不器用さのある子は、整形外科、小児科、理学療法師など専門家に相談してください。
定型発達のお子さんによくある原因はこの3つです。
椅子の高さは、足が床につく程度に調整してください。足がぶらぶらしていると、バランスがとりにくくなり、机に肘を付いてもたれかかったり、どんどん姿勢が崩れていきます。
そのため、「膝の角度と腰の角度が90°になるように座る」ことが理想です。
お子さんが椅子に腰かけて座っている位置に注目してください。座る位置が浅いと、背もたれると骨盤が寝てしまい、姿勢が崩れるだけなく、背中が丸まります。そうなると、呼吸も浅くなります。
そのため、椅子に座るときは、お尻を奥までつけて、背もたれにもたれても良いので、背筋を伸ばして、「骨盤を立たせて座る」ことがポイントです。
3つ目の理由が、足をどこに置いたら良いのかわからないことです。
子どもが椅子を使う際には、ほとんどの場合机とセットで使います。そのため、机があることで、
・足元が見えない
・足の置き場所もわかりにくい
・見えないので意識も続きにくい
という状況になります。
では、どうしたら良いのか?対処法は?
見本提示とオノマトペを使った声掛けを
まずは、大人がどう座ったら良いのか、子どもの横に座り、見本を示しましょう!
ここでのポイントは、「隣に座る」です。
さらに、「お背中ピッ!」「足をそろえてピタッ!」「足と足をぴったんこ!」など、オノマトペを使って動作をイメージできる声掛けをしてみましょう!「足をそろえて」「いい姿勢で」と抽象的な声掛けよりも、効果的です。
足を置くべき場所を視覚的にわかりやすくしよう!
「足を床につけて」
と言われても、子どもにとっては、「えー!足ちゃんと付いてるじゃん(※つま先が)」となってしまいがちです。
つまり、どこに、どのように、床に足をつけたら良いのかわかりません。
そのため、親御さんや先生が簡単に作れる「足を入れる足形付きボックス」の作り方を紹介します。
用意する物
・色画用紙
・はさみ
・A4サイズのクリアファイル
・両面テープ
・A4の書類入れ(網目がおすすめ)
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1色画用紙を足の形に切り抜こう!
上の写真のように、お子さんの見やすい色の色画用紙(青、黒、赤、緑、茶色などはっきりした色がおすすめ)を、はさみを使って切り抜きます。
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2クリアファイルに足形を入れる
A4のクリアファイルに、上の写真のように、足形を入れます。その際に、足形の裏面に両面テープを貼りつけてファイルの中で動かないように固定すると良いです。
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3100均のA4ボックスに入れる
先程作成した足形を入れたクリアファイルを、上の写真のようなA4サイズの書類カゴに入れます。その際に、両面テープ等を裏面に貼り、カゴとファイルを貼りつけると、子どもが足を載せた重みでズレてしまうことを防げます。
足を置くべき場所を視覚的にわかりやすくしよう!
家でできる環境設定として、もう1つご紹介します。
上の写真のように、後方のイスの脚の部分に、折りたたんだタオルや雑巾などを下に入れ、座る座面を斜めにします。
こうすることで骨盤が起きやすくなり、自然と姿勢が良くなります。
ただし、滑り止め等を活用したり、紐で縛ったりして、滑ったり転倒したりすることを防ぐようにしてください。
それでも難しい場合は専用のイスを購入するのもアリ!
お金はかかりますが、子どもの姿勢が整いやすくなります。おすすめのものを順番にご紹介します。
姿勢が良くなるイス
ためカモ学びサイトのメンバーの家では、この椅子を使っているそうです。子どもから大人まで1台で調整でき、使用できるのも魅力だそうです!
姿勢が良くなるアイテム
イスの上に置くだけで使えるアイテムも手軽に使えておすすめです!
発達障害の子ども専用のサポートチェア
発達障害のある子の注意する点
発達障害のある子が姿勢が崩れる原因は、他にも3つほどあります。
- 低緊張である
- 体幹が弱い
- 発達性協調運動障害(DCD)の可能性がある
そのため、気になる場合は、理学療法士など専門家に相談することが大切です。
作業療法や理学療法を取り入れる
低緊張の子や身体の動きに不器用さがある子など、「姿勢や動きが気になる子」は、作業療法士や理学療法士による評価や指導を受けることがおすすめです。
作業療法士や理学療法士は、子どもの筋力や筋緊張、姿勢や動作の特徴を把握し、個別に合わせた運動やトレーニングなどを提案してくれます。また、日常生活における姿勢や動作の改善方法や、必要な補助具や環境調整などもアドバイスしてくれます。
作業療法や理学療法は、病院やリハビリテーション施設、特別支援学校などで受けることができます。医師の紹介状があれば、保険適用で受けることができます。動きが気になるお子さんの作業療法や理学療法は、姿勢を改善するだけでなく、運動能力や自信を高める効果もありますので、専門家に相談してみましょう。
なお、今回ご紹介した方法は親や先生など大人の監督責任の下行ってください。事故やけがなどが起こった際に、当サイト及び監修者は責任を負いませんので、予めご了承ください。
《監修》
関口あさか
特別支援学校の先生。
教育関係の認定:マイクロソフト認定教育イノベーターフェロー、Canva認定教育アンバサダー、クラシエ認定知育菓子®先生など
大学時代からサヴァン症候群の子どもたちの支援や指導について研究・実践を実施。また、重度の知的障害や身体障害、学習障害のある子どもたちに向けて、iPadやPCなどのテクノロジーを教育現場に取り入れ、学習やコミュニケーション、英語授業、ものづくりなどの表現活動支援や研究を学校内外で行っている。
進路指導専任として、障害がある高校生の就労支援・指導にも携わってきた。
イラストが得意で、知的障害のある子どもの英検取得の支援やイラストや感覚イメージを用いた英語授業や学習方法を推進。
「障害によりできないことを無理をして頑張らせるのではなく、得意なことを伸ばし生かす教育」を行い、ICT夢コンテスト宮島龍興記念教育賞などを受賞し、書籍や新聞、TED、Webサイトに多数教育実践が掲載されている。
近年では、障害のあるなしに関わらず、遊びと学びを楽しめるアート・創造ワークショップを親子向けに行っている。