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知的障害がある子ども向けの情報モラル教育・デジタルシチズンシップの授業&ワークシート

(寄稿)

知的障害がある子どもへの情報モラル教育、デジタルシチズンシップ実践・ワークシート

教材作成:関口あさか先生 (埼玉県立特別支援学校 教諭) イラスト:Atelier Funipo

 

私は10年ほど前から、知的障害のある子どもたちを対象とした情報モラル教育に取り組んできました。

今回はiPadやスマホを使用する(もしくは使用予定の)知的障害のあるお子さん向けの情報モラル教育に関する実践やワークシートを紹介&公開します。

 

知的障害のある子どもへの情報モラル教育

現在は、特別支援学校でもGIGAスクールによって、生徒一人一台iPadやPCが配布され、多くの子にこれらの端末が普及しています。しかし、実践を始めた10年前の当時はそのような端末を所有する子どもは少なく、所属校でiPadを学習手段や困難さの代替手段として広める取り組みを行っていました。次第に、私物のiPadを家庭だけでなく学校でも利用し始める子が増えていきました。

それと同時に、iPadをうちの子にも買いたいけれど、ゲーム機になってしまうのは避けたいという保護者からの相談も多くなってきました。

さらに、中学生以上からスマホを所有する子も増え、スマホのトラブルも増えていき、子どもたちと保護者への『情報モラルや情報セキュリティに関する情報提供』の必要性を感じていました。

しかし、知的発達に遅れがある子どもたち向けの情報モラル教育や、iPadやスマホなどの導入の仕方や気をつける点などに関する実践例や書籍も当時はあまりありませんでした。

そこで、同じ勤務校の先生たちと『先行事例を作ろう!』と、当時から障害のある子どもたちへの情報モラルに関する研究を行っている新谷洋介先生(現:金沢星稜大学准教授)にアドバイスをいただきながら実践を行いました。

今回ご紹介する実践やワークシートの中には、数年前のものもありますが、これからの授業づくりの参考になれば幸いです。

 

知的障害がある子どものスマホやiPad使用時のトラブルの種類

所属校の先生たちや管理職と話を進める中で、知的発達や年齢によって、以下のように起きるトラブルの種類に違いがあることがわかってきました。

①重度の知的障害がある子どもたちが抱えるトラブル

お友達のiPadを勝手に使ってしまう(貸してしまう)、親の忠告を無視して勝手にアプリをやってしまう、ゲームがやめられない、授業中に勝手にアプリをやってしまう、乱暴に扱ってしまうなどのトラブルが多く挙がりました。

②軽度の知的障害がある子どもたちが抱えるトラブル

SNSで友達の悪口を書く、LINEグループでの仲間はずれ、メッセージのやり取り、出会い系サイトなどSNSに関するトラブル、アダルトサイトや詐欺サイト、ゲーム課金など多額の請求に関するトラブルなどが多く挙がりました。

上記のトラブルの種類から、
重度知的障害のある子どもたち向けには、『使用する上での約束やルールとその理由』について伝える必要があると考え、

軽度知的障害のある子どもたち向けには、『スマホの利便性とともに、危険性やネットを使用する上で気をつけることとその対処法』について伝える必要があると考えました。

 

実年齢だけではなく、知的発達やニーズに応じた縦割りでの授業

前項で示したように、知的発達によっても抱えるトラブルの種類が異なっていることを踏まえ、普段の授業のように小学部や中学部と分けて授業をするのではなく、実年齢を踏まえながらも知的発達やニーズに応じて以下の3つのクラスに分けて授業を行いました。

a, 重度知的障害のある子ども向けの授業(小中高校生)

→ 『使用する上での約束やルールとその理由』について学ぶ

b, 普段からスマホを使っている軽度知的障害のある子ども向けの授業(小中学生)

→スマホiPadの利便性や勉強にどう役立つかを学ぶだけでなく、ネットの危険性や注意点、LINEなどのテキストメッセージアプリでやり取りする際の注意点、オンラインゲームのやりとりやゲームの課金に関する注意点、トラブルが起きた際の対処法などを学ぶ

c, 普段からスマホを使っている軽度知的障害のある子ども向けの授業(高校生

→自分の困難さを代替したり生活を豊かにしたりする活用だけでなく、ネットやSNSの危険性、LINEなどのテキストメッセージアプリでやり取りする際の注意点、ゲームの課金に関する注意点、トラブルが起きた際の対処法などを学ぶ

なお、軽度知的障害のある子ども向けの授業は、ネットやSNSを扱う子供が増える高校生と、SNSはあまり使わないけれどLINEやフォートナイトなどのオンラインゲームを利用している子が多い小中学生を分けて授業作りを行いました。

ちなみに情報モラル教育のこの縦割り授業は、保護者の方も参観自由としました。親子で一緒に学び、スマホやiPad、パソコンなどの利用について考えるきっかけとしました。

実際に行った授業事例・使用したワークシート

⭐️重度知的障害がある子ども向けの情報モラル教育実践事例ページ

重度の知的障害がある子どもへの情報モラル教育、デジタルシチズンシップ実践・ワークシート
参考重度知的障害がある子ども向けの情報モラル・デジタルシチズンシップ教育実践例・ワークシートプリント

続きを見る

⭐️軽度知的障害がある子ども向けの情報モラル教育実践事例ページ
※現在執筆中

 

参考

OCTくんと学ぼう (oct-kun.net)

 

教材提供者について

関口あさか先生

関口あさか

埼玉県の特別支援学校教諭。大学時代からサヴァン症候群の子どもの評価及び支援について研究し、特異的な才能を持つ子どもへの支援や指導を長年行ってきた。

イラストが得意で、Atelier Funipoという学校の先生が無料でダウンロードして活用できるイラストウェブアトリエの立ち上げ人(現在は代表を引退し、別の者が代表と運営を担っている)。

困難さのあるなしに関わらずアートの楽しさを体験できるワークショップなどを積極的に行っている。

ICTを教育現場に積極的に取り入れ、Microsoftより2015年からMicrosoft Innovative Educator Expertに認定され、2020年に日本で初めてMicrosoft Innovative Educator Fellowに認定された日本の先生6名のうちの1人。

TEDでの登壇映像はこちら

サヴァン症候群のサヴァン症候群の実態調査とその実践的価値
信州大学機関リポジトリ (nii.ac.jp)

 

Atelier Funipo代表

Atelier Funipo代表さん

Atelier Funipo2代目代表

挿絵担当

同じ大学のアート好きな同級生たちと一緒にAtelier Funipoを運営している

漫画と美術館が大好き

大学院時代はアートとは全く関係のない理系分野の研究をしていた

-プリント教材, 情報モラル, 特別支援