教材提供:関口あさか先生(特別支援学校教員)& Atelier Funipo
これまで地域の公立・私立の小学校、中学校、高等学校の相談支援に携わってきました。
その際に、先生たちに配布してきた「より多くの生徒が参加しやすくなる!わかりやすくなる!授業づくりの10の工夫シート」をこの度一般公開することになりました。
このページでは、印刷して使うことができるこのシートを無料でダウンロードできます。
※ダウンロードデータはこの記事の後半にあります。
ユニバーサルデザインの授業づくりの必要性
2012年の文科省の調査によると、小学校、中学校において学習面や行動面で困難さのある児童生徒は全体の6.5%いることが明らかとなりました。つまり、通常学級においても、どのクラス(30人学級とすると)にもこのような困難さのある児童生徒が在籍していることがわかりました。
また、2016年4月から、障害者差別解消法が施行されました。これにより、学校機関でも障害がある児童生徒への『合理的配慮』の提供が義務付けられました。特に国公立学校は、『合理的配慮』の提供が法的義務となります。
「特別支援学校の教員じゃないから関係ない」
「特別支援学級の担任じゃないから関係ない」
とは言えず、すべての学校の先生が、障害により困難さのある児童生徒にどのような支援をしたら良いか知り、考え、そのような児童生徒が学びやすくなるための合理的配慮を提供することが必要になります。
ユニバーサルデザイン授業づくりの10の工夫
様々な方法がありますが、今回は10個に絞ってみました。
イラストを入れてA4 2枚(※表裏印刷だと1枚で収まる!)にし、なるべくわかりやすくまとめてみました。そのため、手軽に印刷して先生たちに配布したり、お家に掲示したりして活用できます。
掲載内容
①,事前に授業の内容や流れを提示する
②,活動の終わりをタイムタイマーで示す
③,こそあど言葉などを具体的に
④,~しない!ではなく、~しよう!
⑤,授業の節目を番号やアイコン付きカードに
⑥,写真やイラストを使って視覚化してわかりやすく
⑦,板書などは見やすい色で
⑧,ユニバーサルデザインフォントを活用する
⑨,様々な『アウトプット手段』を保障する
⑩,様々な『インプット手段』を保障する
幼稚園・保育園・子育て・高齢者施設でも役立ちます
このシートの内容は、未就学児にも効果的です。
我が家も子どもが幼く、言葉がなかなか通じにくかった時期には、家族にこの方法を共有したことで、子どもとよりスムーズなコミュニケーションを図ることもできました(それでもイヤイヤ期の子どもには、完璧にうまくいくわけではありませんでしたが)。
また、大きな声を出して泣いて駄々をこねる、保育園の準備などなかなか取り掛かってくれない、モノを投げるなどの問題行動も大幅に減りました。
幼い子どもたちにとっても、このような配慮はとても役に立つことも多く、幼稚園や保育園、そして幼い子どもの子育てをしている保護者の方もご活用いただけます。
さらに、認知症などがあるご高齢の方の支援にもお役立ていただけます。
シートのダウンロードはこちらから
使用したワークシートを以下よりダウンロードできます。
無料公開しておりますが、学校での利用および家庭での利用を目的としており、商用利用は不可となりますのでご注意ください。ご利用前に必ずこちらをご確認ください。
このワークシートいいね!と思ったら、ワークシートのデータではなく、この記事ページのリンクをシェアしてください。より多くの子どもたちの支援につなげたく、ぜひぜひシェアのご協力をいただけたら幸いです。
塾やお金を取るイベントやワークショップでの利用、印刷してラミネートしたもの(A4,A3で作成可能)を送ってほしいなどのご依頼はお問い合わせより必ずご連絡をお願いいたします。
※このワークシートをダウンロードするには、以下のワークシートの画像かタイトルをクリックしていください。
02 通常学級 多くの子がわかりやすい・参加しやすい授業の10の工夫 2019.6.27 Ⓒ関口あさか&Atelier Funipo
ちなみに、このシートで紹介している『声の大きさ12345視覚化シート①』を以下の記事で紹介&ダウンロードできます。こちらも併せてご参照ください。
-
参考『声の大きさ12345視覚化シート①』
続きを見る
教材提供者について
関口あさか
埼玉県の特別支援学校教諭。大学時代に障がいのある子どもへの認知発達の把握や支援及び指導、絵カードコミュニケーション指導、さらにサヴァン症候群の子どもの評価及び支援について研究し、特異的な才能を持つ子どもへの支援や指導を長年取り組んでいる。
イラストが得意で、Atelier Funipoという学校の先生が無料でダウンロードして活用できるイラストウェブアトリエの立ち上げ人(現在は代表を引退し、別の者が代表と運営を担っている)。
困難さのあるなしに関わらずアートの楽しさを体験できるワークショップなどを積極的に行っている。
ICTを教育現場に積極的に取り入れ、Microsoftより2015年からMicrosoft Innovative Educator Expertに認定され、2020年に日本で初めてMicrosoft Innovative Educator Fellowに認定された日本の先生6名のうちの1人。
サヴァン症候群のサヴァン症候群の実態調査とその実践的価値
信州大学機関リポジトリ (nii.ac.jp)
Atelier Funipo代表さん
Atelier Funipo2代目代表
挿絵・デザイン担当。
同じ大学のアート好きな同級生たちと一緒にAtelier Funipoを運営している。
漫画と美術館が大好き。
大学院時代はアートとは全く関係のない理系の科学分野の研究をしていた。