イラストやイメージで学ぶ英文法シリーズ 第1回 (寄稿)
英語の前置詞の威力はすさまじい
以下の2つの文を見てください。
① I will never forget what you have done for me.
② I will never forget what you have done to me.
どちらの文も直訳すると、『あなたが私にしたことを忘れない』という訳になりますが、実は恐ろしいことに根本的な意味が全く違います。
絵にするとこんな感じに違う↓
ちなみに、
① I will never forget what you have done for me.
のイメージはこんな感じ
② I will never forget what you have done to me.
のイメージはこんな感じ
読者の皆さんには、前置詞の威力を感じていただけたと思います。
※toとforの持つ役割のイメージを次回以降のコラムで解説していきます。
私たち日本人にとっては、つい書き忘れてしまったり、使い分けがいまいちわかりにくい『前置詞』は、実はとっても大事な役割を持っていて、使い間違えると時に思いもよらない伝わり方をしてしまうことがあります。
そもそも『前置詞』って何者?どうやって使い分けたらいいの?覚えるコツは?ということを今回は分かりやすいイラスト共に解説していきます。
そもそも前置詞って何者???
英語の『前置詞』は簡単に言うと
『モノと場所の関係』です。
つまり『あるモノをある場所にどう置くか』を表現します。
なので、『前置詞』という言葉に惑わされて、前置詞の『後ろにある単語』を見ても意味がありません。
見るべきポイントは、前置詞の『前』と『後』に来る、『モノ』と『場所』に注目します。
もう少し具体的に見ていきましょう。
日本語の格助詞と英語の前置詞は違う?
上のイラストを見てください。
しかし、『モノ』と『場所』の関係は同じでしょうか?
残念ながら、同じ『に』を使っていても、そのモノがいる(ある)場所は全く違います。
本は机の上にありますが、魚は海の中にいます。
英語にすると、
There is a book on the table.
There are some fish in the sea.
というようになり、違う前置詞を使います。
英語の前置詞を理解するためには、前置詞の前後にあるモノと場所の関係性を『イメージ』することがとても大切になります。
前置詞の前後にあるモノと場所の関係性をイメージする
モノと場所の関係を表す前置詞自体が持つコアなイメージを持つことが非常に大事になってきます。
どの前置詞を使うかは、その人がどのようにその世界を見ているかということを示しています。そのため、その見方が自然なのかという点も大事になってきます。つまり、どのようにその人は世界を見ているのかを前置詞から感じ取ることが大切です。
どの前置詞が正しく、どちらの前置詞が正しいのかという問いはあまり意味がありません。
あなたが表現したい『モノと場所の関係性』を前置詞に乗せて表現できれば良いと思います。
なので、モノと場所の関係を表す前置詞自体が持つコアなイメージを持つことが非常に大事になってきます。
という方のために、前置詞の使い分けが苦手な生徒さんや、英語の学び直しがしたい大人向けに、かわいらしいイラストやイメージを使って前置詞をわかりやすく解説していきます。お楽しみに!
次回は、『on』の持つイメージについて解説していきます。
イラスト提供:Atelier Funipo
執筆者プロフィール
関口あさか
埼玉県の特別支援学校教諭。大学時代に有路憲一氏(信州大学准)の『イメージで攻める英文法ゼミ』1期生。そこで得たノウハウを学校現場に生かし、有路氏と教材開発を行ったり、学習障がいや知的障がいなど学びにくさのある子どもたちにイラストやイメージで学べる英語の授業を10年以上前から行っている。
困難さのある子どもたちへの授業でICTを活用し、その実践が国内外で評価されている。
10年以上前から有路氏と取り組むサヴァン症候群の子どもたちへの実践や調査研究などが最近注目を集めている。
Microsoft認定教育イノベーター2016-2021,Microsoft Innovative Educator Fellow 2020-2021など。
TEDでの登壇映像はこちら
サヴァン症候群のサヴァン症候群の実態調査とその実践的価値
信州大学機関リポジトリ (nii.ac.jp)
ジョーダン・ピアソン
ニュージーランド出身の英語の教諭。
10年以上前から日本の高校・中学校で英語の教員として働いている。
困難さのあるなしに関わらず多くの子どもたちに英語を学ぶ楽しさを届けたいという思いで、関口氏と一緒に重度の身体障がいや知的障がいのある子どもたちへの英語の授業を提供してきた。
最近では、少しずつ日本語もペラペラになってきた。
有路憲一
全学教育機構 言語教育センター 准教授。関口氏が作成しているイラストで学ぶ英文法教材のアドバイザー。
参考文献・引用文献
⑴ 身体感覚と言語 : 身体感覚を利用した言語学習 (有路憲一, 関口あさか)信州大学総合人間科学研究 (12) 194-205 2018年3月7日
⑵ 語彙学習方略における音象徴・音感覚性共感覚の有用性について-音象徴・音感覚性共感覚を活用した語彙学習方略 (有路憲一)信州大学総合人間科学研究 (13) 171-180 2019年3月18日
⑶ 関口あさか「アイデアいっぱい・誰にでもできる指導法:誰もが学びやすい!感覚やイメージで学ぶ 英語の授業」『特別支援教育の実践情報 2020年6・7月号』